太陽光発電システムの地絡の点検 


設置担当者

パワーコンディショナが警告音を鳴らしている場合、地絡が発生している可能性があります。この場合、赤色のLEDが点灯し、イベント番号3501、3601または3701がパワーコンディショナのユーザーインターフェース上にある結果のメニューに表示されています。太陽光発電システムの対地間絶縁が不良または不十分です。

危険

地絡発生時に通電しているシステムコンポーネントに接触し感電死する危険あり

地絡が生じた際、システムの部品にはまだ電圧がかかっていることがあります。通電部品や通電しているケーブルに触れると、感電により致死事故や重傷を招くおそれがあります。

  1. 製品の電源を落とし、装置での作業前に誤って再接続されないようにしてください。
  2. 太陽電池モジュールのケーブルの絶縁部以外には触れないでください。
  3. 太陽電池アレイの土台やフレームに触れないでください。
  4. 地絡が発生している太陽電池ストリングをパワーコンディショナに接続しないでください。
  5. 電圧がかかっていないことを確認したうえで、必ず5分以上待ってから太陽光発電システムまたは製品の部品に触れるようにしてください。

警告

電圧計が破損していると過電圧により感電死する危険あり

過電圧により電圧計が破損し、その結果、電圧計内部に電圧が残ることがあります。電圧計の通電部品に触れると、感電により致死事故や重傷を招くおそれがあります。

  1. DC入力電圧が600 V以上の電圧計だけを使用してください。

手順:

以下の手順に従って、太陽光発電システムに地絡が発生していないかどうかを確かめます。以下に具体的な手順を説明します。 

  • 電圧を測定することにより、地絡が発生していないかを確認します。

  • 電圧を測定する方法で地絡を発見できなかった場合は、絶縁抵抗を測定します。

電圧を測定する場合:

次の手順に従って、太陽光発電システムの各ストリングで地絡の有無を点検します。

手順:

  1. 危険

    高電圧による致死事故の危険

    1. パワーコンディショナのすべての電源を落としますパワーコンディショナの電源を切る)
  2. 正極端子と保護接地端子(PE:Protective Earth)間の電圧を測定します。
  3. 負極端子と保護接地端子(PE:Protective Earth)間の電圧を測定します。
  4. 正極端子と負極端子間の電圧を測定します。
  5. 次の両方の条件に当てはまる場合は、地絡が発生しています。
  6. 電圧の測定値がすべて安定している。
  7. 正極端子の対地電圧と負極端子の対地電圧の和が、正極端子と負極端子間の電圧にほぼ等しい。
  8. 地絡が発生している場合は、2つの対地電圧の比から地絡がどこで発生しているかを見つけ、地絡を解消します。
  9. 電圧の測定では地絡が見つからないのに、ディスプレイに地絡発生のイベント番号が表示される場合は、絶縁抵抗を測定します。
  10. 地絡していないストリングをパワーコンディショナに再接続して、運転を再開します(パワーコンディショナの設置を参照)。

地絡の発生位置

この例では、2番目と3番目の太陽電池モジュールの間で地絡しています。

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絶縁抵抗を測定する場合:

電圧の測定では地絡の発生を示す十分な証拠がなかった場合は、絶縁抵抗を測定してより正確に調べます。

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測定回路図

絶縁抵抗の計算

太陽光発電システム全体の絶縁抵抗と各ストリングの絶縁抵抗の予想値には、次の関係が成り立ちます。

太陽電池モジュールの絶縁抵抗の正確な値は、モジュールのデータシートを確認するか、メーカーに問い合わせてください。

一般に、太陽電池モジュールの絶縁抵抗値は平均的に薄膜型で40 MΩ、単結晶または多結晶型で50 MΩです(絶縁抵抗値の計算に関する詳しい情報については、www.SMA-Solar.comに掲載の技術情報「Insulation Resistance (Riso) of Non-Galvanically Isolated PV Systems」を参照)。

必要な計器・装置:

  • 太陽電池アレイの開放・短絡用装置(適切な仕様の機種)

  • 絶縁抵抗計

太陽電池アレイの開放・短絡用装置について

絶縁抵抗の測定は、太陽電池アレイを安全に開放・短絡用装置がある場合だけ実施してください。適切な装置がない場合は、実施しないでください。

手順:

  1. ストリングあたりの絶縁抵抗の適正値を計算します。
  2. 危険

    高電圧による致死事故の危険

    1. パワーコンディショナのすべての電源を落としますパワーコンディショナの電源を切る)
  3. 短絡用装置を取り付けます。
  4. 絶縁抵抗計を接続します。
  5. 1つめのストリングを短絡させます。
  6. 試験電圧を設定します。試験電圧は、太陽電池モジュールの最大システム電圧にできるだけ近づけるものの、最大システム電圧を超えない値に設定してください(データシートを参照)。
  7. 絶縁抵抗を測定します。
  8. 短絡回路を開放します。
  9. 同じ要領で、他のストリングの絶縁抵抗を測定します。
  10. ストリングの絶縁抵抗の測定値が、理論上計算した適正値と大きく異なる場合は、そのストリングで地絡が発生しています。
  11. 見つかった地絡を開放してから、それらのストリングのみを再接続します。
  12. 地絡していないストリングをパワーコンディショナに接続します。
  13. パワーコンディショナの運転を再開します。
  14. それでも、パワーコンディショナのディスプレイに、絶縁エラーが表示される場合は、サービス契約取扱店に連絡してくださいお問い合わせ)。太陽電池モジュールの容量がパワーコンディショナに合っていない可能性があります。